正倉院宝庫は毎年秋に勅封が解かれ、宝物の点検が行われます。その時期に合わせて宝物を一般に公開する正倉院展が開催されます。出陳宝物の選定は宝物の全体像が分かるように配慮しつつ、最新の研究成果を反映した品や話題性のある品が選ばれています。正倉院展は昭和21年(1946)に第1回が奈良帝室博物館(現・奈良国立博物館)で開催され、その後東京で行われた3回(昭和24年、34年、56年)を除き、毎年、奈良で開催されています。
About the Exhibition正倉院展とは
The Exhibition正倉院展とは
The Shōsō-in Treasures正倉院宝物とは
正倉院宝庫には様々な経緯で宝物が納められたと考えられますが、大きくは、①天平勝宝8歳(756)6月21日以降5回にわたり、光明皇后によって東大寺の大仏に献納された聖武天皇のご遺愛品、②東大寺での法要にまつわる品々、③造東大寺司(東大寺の造営に当たった機関)に関連する品々に分類することができます。
このうち①は、正倉院宝物の中心をなす一群(献納宝物)で、正倉院宝物が成立する契機となったとりわけ重要な品々です。
②は、天平勝宝4年(752)4月9日に行われた大仏開眼会など東大寺の法要で使用された供養具や荘厳具、伎楽の装束や楽器類、皇族や貴族からの献納品などで構成されます。
③には、造東大寺司で使われた加工材料や工具、作業者の衣服、また、所管の写経所で業務遂行のために作成された文書などが含まれます。他に宮中儀式具や武器・武具なども残っており、宝物の入庫には様々ないきさつがあったことが推定されます。
The Shōsō-in Repository正倉院とは
正倉院宝庫はもと東大寺の正倉で、奈良時代の741年から750年ごろにかけて建立されたと考えられています。三角形の木材を組み上げた校倉造の建築で、北、中央、南の3部屋に分かれ、それぞれ北倉、中倉、南倉と呼ばれています。本来「正倉」とは穀物などを収納する倉を言いますが、東大寺の正倉院には奈良時代より宝物が納められ、天皇の封(勅封)や東大寺の管理のもと宝庫の開閉は厳しく制限され、宝物が守られてきました。現在では宮内庁正倉院事務所が管理しています。
The Number, Dating and Provenance of the Treasures宝物の数と時代・国籍
今日の宝物の件数は約9000件とされています(件は1組の品物を1件と数える数え方)。宝物のうち95パーセントほどは奈良時代の日本で製作されたと考えられますが、中国の唐や朝鮮半島の統一新羅など同時代の東アジア諸国からの舶載品や、ササン朝ペルシアや東南アジア諸国から唐を経由してもたらされた品も見ることができます。大半の宝物の製作された時代は、およそ8世紀と考えられます(一部に7世紀以前や9世紀以降のものも見られます)。