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古都・奈良の秋を彩る正倉院展が、今年も開催される運びとなりました。昭和21年(1946)の初回から数え、今年で実に76回目を迎えます。
正倉院宝物は、奈良時代にわが国を治めた聖武天皇ご遺愛の品々を中心とした、天平文化の粋を今に伝える貴重な宝物群です。これらの宝物は、かつて東大寺の重要な資財を保管する倉であった正倉院正倉に納められ、勅封などの厳重な管理のもと、今日まで守り伝えられてきました。

紫地鳳形錦御軾

紫地鳳形錦御軾(北倉)

今年も調度品や服飾具、仏具、文書といった、正倉院宝物の全体像をうかがえる品々が会場を彩ります。なかでも、美しい錦張りの肘おき「紫地鳳形錦御軾」(北倉47)は、聖武天皇がお使いになった品として格別の意義を有する至宝です。また、「碧瑠璃小尺」(中倉111)や「深緑瑠璃魚形」(中倉128)といった色ガラス製の装身具のほか、金と緑釉の対比が華やかな「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡」(南倉70)など、色とりどりのガラスを用いた宝物の数々が私たちの目を楽しませてくれます。そのほか、「沈香木画箱」(中倉142)や「紫檀金銀絵書几」(南倉174)といった、奈良時代の高度な工芸技術を誇る品々にも目を見張ることでしょう。さらに今年は、宮内庁正倉院事務所が製作した宝物の再現模造品も多数展示され、これらとあわせてご覧いただくことで、宝物により深く親しんでいただける内容となっています。
多彩なラインナップで開催される今年の正倉院展を、ぜひご堪能ください。